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小津安二郎に完全にはまってしまって困っている
この年末年始は小津安二郎に完全にはまってしまって困ってしまっている。僕の短歌の方向とは真逆だからだ。おかげで短歌が全くできなくなってしまった。
全部で14本見た。
『晩春』を皮切りに『麦秋』『東京物語』『宗方姉妹』『風の中の牝雞』『早春』『東京暮色』『お茶漬の味』『東京の合唱』『東京の女』『一人息子』『淑女は何を忘れたか』『戸田家の兄妹』『父ありき』とよくぞこれだけ見たなというぐらい見た。おそらく著作権切れが多いのだろう。YouTubeなどで簡単にみられる。
戦前の無声映画はちょっときつかったのでさすがに二本でやめた。小津が兵役から帰ってきてからの昭和16年から途端に質が上がる。特に戦後の白黒映画は至高だろうと思う。
ここまで見て小津の映画を僕なりに総括すると、ありふれた人情もの、ホームドラマが多いながらも冷ややかなリアリズムを基底とした静かで穏やかな悲劇と言える。時代を超えた普遍性をこれでもかと突きつけられる。これでもかこれでもかと何本見ても。その普遍性に圧倒されるのだ。

で、カラー映画はまだ心の準備ができてなくて、戦後の白黒映画で最後に残されていた『長屋紳士録』を今日見た。最後の楽しみに残してとっておいたのではなくて、人情喜劇だということで小津らしくないなと思い、あまり気がすすまなくて結局最後になってしまっただけだ。評判もあまりよくなかったし。
しかしこれが意に反して大変面白かった。笑いのツボがあの時代だというのに全くずれてない。ここに驚いた。そして泣ける。最後は辛い終わり方で、ああやっぱり小津は悲劇にもっていかないと気が済まないのだな、とは思ったが、これは『男はつらいよ』の原型かもしれない。

この動画の笠智衆は歌が半端なく上手い。リズム感が今のロックなんかよりいいんじゃないかとさえ思えてくる。これだけでも見る価値はあると思う。笠智衆さんが謙遜気味に言ったことには小津監督にただ一つ褒められたのがこの歌だったとか。厳しいらしかったからね。
のぞきカラクリの唄 映画「長屋紳士録」より 歌:笠 智衆

『長屋紳士録』の本篇はこちらです。
長屋紳士録 - Nagaya shinshiroku - Record of a Tenement Gentleman (1947) Yasujirô Ozu
昭和22年なので完全に著作権切れでしょう。安心してみてください。
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