それぞれの正義
弟妹たちのことが7月以来ずっと重くのしかかっているなか、今日は妻が一言も口をきかなくなった。最近の小説に、長期にわたって妻が一言も口をきかなくなる、という内容の小説があるらしいが、一番読みたくない小説だ。

ぼくはもちろんその小説の主人公のように、浮気をしているわけではないし、なんにも悪いことしてないつもりだけど、ひとはそれぞれの正義で感情が決まる。そのそれぞれの正義は本当に人それぞれなのである。そのそれぞれの正義について議論できない場合はその人とは断絶するしかない。

僕にとって、笹井宏之の最大の魅力は、ひょっとしたら、そのそれぞれの正義を全く押し付けてこないところなのかもしれない。というより、笹井にとって、自身の正義はないような気さえする。自分をできる限り「無」にしているのだろうか。

・〈炎上〉のブログに蟻は群を成す 甘い正義にありつきたくて
嵯峨直樹「神の翼」
            
・差別して生きる。差別されながら生きる。それもこまやかに差別し、されて
岡井隆「ネフスキイ」
          
・神木にウエストポーチをまきつける 正しいことがしたいあまりに
笹井宏之(未来・二〇〇九年二月号) 

     

何が正義なのかということは、人それぞれなのである。そのことを理解していない人とはまともに話をすることはできない。
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