伊勢と靖国
少し遅れましたが、あけましておめでとうございます。今年もがんばってブログを続けていこうと思っております。「継続こそが力なり」とは私の短歌の師、加藤治郎氏の言葉ですが(まぁ、つまり短歌を継続しろ、ということですが)、今まで生きてきて、仕事以外全くなにも継続したことがなかったものにとっては、この言葉は大変深遠なはずなのです。それをブログで経験しようという高邁な想いが僕にあるのかないのか、それはともかくブログ続けます。最低週一ででも。(もちろん短歌も続けます、はい)


さて、また靖国である。年頭からこういううっとうしい話はしたくなかったのだが、小泉首相の年頭の挨拶を聞いていると、あまりにムカつくのでしないことには治まらなくなった。

一国の首相が一国民として戦没者に哀悼の念をもって靖国参拝する。日本人からの批判は理解できない。精神の自由に、政治が関与することを嫌う知識人や言論人が批判することも理解できない。まして外国政府が心の問題にまで介入して、外交問題にしようとする姿勢も理解できない。心の問題は誰も侵すことのできない憲法に保障されたものだ。
 ひとつの問題で、外交交渉はしないとか、首脳会談を開かないとか、理解できない。靖国参拝は外交問題にならない。中韓が交渉の道を閉ざすことはあってはならない。いつでも話し合いに応じる。後は先方がどう判断するかだ。


「理解できない」の連発である。もう無茶苦茶だ。自転車通行禁止の商店街を歩いている人に後ろから自転車に乗ったおっさんが「オラオラどかんかい!どかんかい!どかんかったら轢いてまうでー!」と言いながら突進してくるような理不尽さである。人と議論することを暴力的と言っていい程全く拒絶している。今や国民の半分とまでは行かないだろうが少なくとも3~4割ぐらいの人が首相の靖国参拝には反対なのである。それに全く耳を傾けないという人に、この現代社会で一国の首相が務まるのだろうか。こっちが「理解できない」と言わざるを得ない。参拝賛成派の人でも心ある人はきっとうんざりされていることだろう。

以前、首相は靖国参拝の言い訳として、「伊勢はよくて靖国は何故だめなのか理解できない」とか言っていたが、伊勢神宮と靖国神社を比べるのはいくらなんでも伊勢神宮に失礼だろう。あっちは僕が知る限りでも1500年は続いている。日本書紀では紀元前からである。つまり日本の歴史がはじまったときからおそらくあったはずだ。それに対して、靖国は明治に入ってからの新興宗教である。月とスッポンとはこのことだ。それに太平洋戦争時近隣諸国に侵攻したことに靖国は直接関与しているが、伊勢は直接には関係ない。日本は確かに八百万の神を信じる傾向がある。お伊勢さんも僕は知らないが何かの神だろう。その線で行くと靖国は間違いなく軍神である。軍神に平和を祈ることの不条理さを、そのことで少なくない日本人の平和を祈る心情に、はらわたがねじれるような不快感を感じさせるのを、日本の首相を務める人はまず理解すべきだ。靖国問題は首相の言うとおり我々日本人の心の問題である。その心の問題であるということの意味、つまり心は一種類ではないのだ、ということを当たり前のことだが、まず認識しなければならないだろう。まず何より議論が必要なはずだ。

議論をとことん拒否するなら、小泉-安倍ラインでひょっとしたら日本は潰れるかもしれない。

今日はこの辺で。年頭からあまり不快になりたくない。でもいずれ靖国についてははっきりまとめようと思う。継続こそが力だと信じて。
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コメント
この記事へのコメント
はじめまして
はじめまして、ペンネームですが、三介と申します。建築士ですので耐震偽装の記事でこのサイトを知りました。(僕のその件に関する意見はあなたのとは少し違います。下記のスパイラルドラゴンさんに投稿してますので、気が向いたら長いですが読んでみてください。http://blogs.dion.ne.jp/spiraldragon/archives/2551481.html
政治・経済関係については
結構似た感性だと思います。水無月さんのサイトに僕のまとまりのない拙文があります。興味はないかもしれませんが、ご参考までに、
http://yohaku.seesaa.net/article/7385013.html
自分でブログ開けばよさそうなもんですが、あっちこっちお邪魔するだけなのも楽しいし、楽なので・・・。)
ところで歌人の方なんですね。僕はひどく文学音痴でして、詩や小説の意味がしばしばさっぱり分からないのです。単に読みが浅いだけなのかもしれませんが・・・。何か、こうそもそもの心構えとかが必要なのでしょうか? それともやっぱり、何度も納得がいくまで読み込むしかないのでしょうか? もうすでに書かれているのならアドレスを、まだでしたら、新稿でご教示を・・・。特に詩や歌が苦手なので・・。
2006/01/11(水) 17:58:55 | URL | 建つ三介 #-[ 編集]
コメントありがとうございます
三介さん、大変詳細に読んで頂いてありがとうございます。感謝です。

いろいろとブログへの投稿文読みました。建築のプロの方のご意見ということで大変これからも参考になりそうです。近々、小嶋氏の証人喚問もありますし、今後とも注視していきたいと思います。

>政治・経済関係については結構似た感性だと思います。
とありましたが、確かに感性的には近いかもしれません。共感しました。でもその博識と洞察眼に関してはもう脱帽です。僕など全くかないません。水無月さんのブログお気に入りにいれました。ここは本当に面白く読めます。いろいろと教えていただきたいので、三介さんもぜひブログを書かれたらよいと思うのですが。

文学について教えてください、とありましたが、僕も俳句から短歌に転向してまだやっと2年、人に教えるようなことはなんにもありません。でも詩や短歌は韻文ですから、韻文には韻文の何かコツがあるのかもしれませんが。ひとつ言えることは、とにかく楽しんで読むということ、楽しんで読めるものを選ぶということ。それと昔の名作よりも今の同時代の文学のほうが身に添って読めるので、面白いと思います。
もし短歌にご興味がおありなら、初心者向けの入門書で最近いいのが出ましたので、紹介しておきます。
加藤治郎著『短歌レトリック入門』(風媒社)です。
http://www.fubaisha.com/search.cgi?mode=close_up&isbn=2052-6
主に80年~90年代の比較的新しい短歌作品を材料に短歌の修辞についてわかりやすく解説しています。初心者から結構中堅まで幅広く面白く読め、これからの大学やカルチャーセンターの短歌教育に使われるテキストとしてのスタンダードとなっていくことでしょう。

三介さんのお役にはあまりたてませんでしたが、これからも何かコメントございましたら気軽に書き込んでください。励みにしたいと思います。
ありがとうございました。
2006/01/11(水) 21:43:15 | URL | hosomi #4DppGirI[ 編集]
早速の助言ありがとうございます。
hosomi さん。早速の助言ありがとうございます。ちょっと貧乏ですので、本はいつもブックオフ等で買っています、また見つけたら読んでみたいと思います。感想とかも発表しますので、岩下志麻・極妻風に『覚悟しいや!?』です。
僕もブログをとのことですが、
>今日「読みたい人」は減る一方、「書きたい人」は増える一方、と言われている。ホームページ。ブログ。
とあなたもおっしゃるように、よき読み手こそが不足していたりするのかも・・・。あなたが『脱帽』してくださった「考え」の多くも、凄い読者だった多くの先人(その筆頭が故・藤田省三氏です)によるところ大ですし、・・。もともと僕は80-90年代経済学を勉強していまして(仕事は建築でしたが)、政治や文学にはあまり興味を持っていませんでした。でもふとしたきっかけで、歴史や政治の面白さを知り、その過程で藤田氏の『世界』誌上での発言を読んで、びっくり仰天しました。政治学や文学の世界では当たり前だったのかもしれませんが、幅が広すぎる、古今東西およそ知性的・感情的・宗教的・芸術的全分野に渡って人間の何たるかを隈なく追究する恐ろしい学者や文学者がいることに気付いたのです。ああ、こりゃかなワンと観念しました。まず読むしかない、と。で、時々、自分なりに考えて少しだけ、恐る恐る書いてみようと。僕にとっては幸いなことに(出版社にとっては受難でしょうが)100円ぐらいで5-10年前はおろか、2-3年前の新刊書でさえ古本屋さんで買える時代なので、今回構造偽装問題でブログという楽しい交流の場もできて、少し発表の機会にもなり、これを励みにもっと色々読んでhosomiさんをはじめ皆さんと議論を深めたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
2006/01/12(木) 22:11:39 | URL | 建つ #-[ 編集]
藤田省三
仰るとおり、今読みたい人こそ貴重かもしれません。

ところで藤田省三という人を無教養ゆえ初めて名前を知ったのですが、何か入門書のようなものはありませんでしょうか。あるいはサイトなど。
2006/01/12(木) 23:49:37 | URL | hosomi #4DppGirI[ 編集]
ええー、例えば
みすず書房のサイトで
http://www.msz.co.jp/list_prep/fujita.html

藤田省三著作集 全作品が掲載されていますよ。
また法政大学のサイトで
www.hosei.ac.jp/new/ga-pr031211g.html - 8k
追悼―藤田省三先生って感じで
多くの方がその死を悼んでおられます。
その他、藤田省三 の検索結果 約 9,620 件、ゴーグルで検索できますよ。僕自身全部読めない位多くの紹介がネット上でも発見できそうです。

岩波書店の月刊誌『世界』に連載されていた『語る藤田省三』や『戦後精神史序説』なんかも凄く面白かったです。日本の(もちろん世界や過去のも)左翼にも(また体制側にも)凄い人がいたことをきっとあなたも追認できるでしょう。でもいっぺんに読んで頭がパンクしても『当局は一切関知してくれないので、そのつもりで』(MISSION IMPOSSIBLE)・・・。ではさようなら。
2006/01/13(金) 00:27:39 | URL | 建つ三介 #-[ 編集]
ありがとうございます。
ちょっと僕も調べてみますね。面白そうなので。
2006/01/13(金) 22:40:29 | URL | hosomi #4DppGirI[ 編集]
理解できないです
私は理解できないです。
今のこの時代をどう思うか、それはそれぞれの考えでしょうが、この日本国のために命を落とされた方々に参ることがなぜいけないのでしょうか?召集令状などくるはずがない毎日あって焦点がずれているような気がします。このことに評論など必要なのでしょうか。
2006/08/15(火) 23:34:24 | URL | 山本 #-[ 編集]
英霊製造装置としての靖国
山本さん、コメントをありがとうございます。

一個人の靖国参拝そのものを誰も反対してはいません。それは宗教の自由で何人たりとも反対するものではないからです。僕も東京へ行ったら行きますよ。

問題は一国の首相が参拝することの是非なのです。
明治政府が神道に便乗して列強に勝つための英霊製造装置と仕立て上げた靖国というシステムに、そして太平洋戦争時、近隣諸国へ侵略することを正当化した靖国というシステムに、一国の首相が参拝するのはどうなのかな、という議論です。
まさにこれこそ議論が必要でしょう。
靖国という宗教を利用して時の為政者は戦争を正当化したのです。
2006/08/16(水) 15:05:04 | URL | hosomi #4DppGirI[ 編集]
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「靖国は心の問題。次期総裁選びの争点にすべきではない。外交問題でもない」と小泉首相は言う。しかし、争点や問題にしているのは、小泉首相及び靖国参拝を推進する政治家側ではなかろうか?麻生外相は天皇参拝を求めた。そして天皇参拝が参拝しなくなった理由について、麻
2006/01/31(火) 23:42:45 | ◆木偶の妄言◆